初めまして。
CryptoGamesというブロックチェーンゲーム企業でエンジニアをしている cardene(かるでね) です!
ERCについてひたすらまとめたり、スマートコントラクトを書いたり、フロントエンド・バックエンド・インフラと幅広く触れています。
以下でも情報発信しているので、興味ある記事があればぜひ読んでみてください!
https://twitter.com/cardene777
https://chaldene.net/
https://qiita.com/cardene
https://zenn.dev/heku
https://mirror.xyz/0xcE77b9fCd390847627c84359fC1Bc02fC78f0e58
https://cardene.notion.site/ERC-EIP-2a03fa3ea33d43baa9ed82288f98d4a9?pvs=4
また、これからも情報を見逃したくないという方はぜひ以下の購読ボタンを教えてください。
更新があった時、登録しているメールアドレス宛に通知が飛ぶようになります。
今回はXRP LEDGERについての第2回の記事になります。
第1回の記事は以下になります。
https://cardene.substack.com/p/xrp-ledger-introduction
XRP LEDGERのユースケースについてまとめていきます。
この記事は以下の公式ドキュメントを参考にまとめていきます。
https://xrpl.org/docs/use-cases/
支払い
P2P決済
XRP Ledgerは現金を渡すかのように直接支払いができます。
友人間や購入者とサービス間など、XRP Ledgerは低いネットワーク手数料で迅速に直接(ピアツーピア)の支払いを可能にします。
ウォレット
XRP Ledgerを使って直接支払いを行う前に、使用する仮想通貨ウォレットを選ぶことが重要です。
仮想通貨ウォレットは、レジャーとのやりとりや資金の管理を容易にするもので、ニーズに応じて多くの選択肢があります。
必要に応じて自分でウォレットを作成することもできます。
アカウント作成
アカウントを作成する前に、どのXRP Ledgerネットワークを使用するかを決める必要があります。
異なる用途のために複数のネットワークが存在しますが、本来のXRPトランザクションはメインネットでのみ行われます。
ほとんどのウォレットはアカウントを作成する機能を提供しており、公開鍵と秘密鍵を生成することができます。
また、数学的に有効であれば自分自身でアカウントを作成することができます。
アカウントに資金を供給
アカウントをXRP Ledger上でアクティブにするには、資金を供給して最低限のリザーブ要件を満たす必要があります。
最低限のリザーブ(Minimum Reserve)は、XRP Ledgerにおいて、アカウントを保持し操作するために必要なXRPの最低量を指します。これは、ネットワークのリソースを無駄に消費することを防ぎ、スパムや悪意ある使用を制限するために設けられています。
リザーブの目的
最低限のリザーブは、各アカウントがネットワーク上で一定量のXRPを保持することを要求することで、ネットワークの健全性とセキュリティを維持することを目的としています。アカウントがこのリザーブ量を下回ると、そのアカウントの一部機能が制限される場合があります。
リザーブの量
最低限のリザーブ量は、XRP Ledgerのネットワーク状況や市場価格によって変動することがありますが、
10XRP
のリザーブが必要とされています。これに加えて、ウォレット内でオブジェクト(例えば信頼線やエスクロー取引)を保持するごとに追加のリザーブが必要となる場合があります。リザーブの調整
XRP Ledgerの運営者や利用者は、ネットワークの変更を提案し、投票によってリザーブの量を調整することができます。これにより、市場状況やネットワークの要求に応じて、最低限のリザーブが適切に維持されます。
最低限のリザーブはユーザーが自由に使用できるわけではなく、基本的にはアカウントの機能を維持するために「凍結」されていると考えることができます。これは、XRP Ledgerを利用する上で理解しておくべき重要な概念の一つです。
使用しているウォレットがXRPの購入オプションを提供していない場合は、取引所を利用してXRPを購入しアカウントに送金するか、誰からかXRPを送ってもらう必要があります。
ウォレットに資金があるかは以下の方法で確認できます。
これらのステップを踏むことで、XRP Ledgerを使用して効率的に支払いを行う準備が整います。
支払い処理
XRP Ledgerを使用した支払い処理には、直接XRP支払いとクロスカレンシー支払いの2つの主な方法があります。
直接XRP支払い
直接XRP支払いは、XRP Ledger上で誰かに支払う最も単純な方法です。
チェックやエスクローを使用することもできますが、これらは完了するために複数のトランザクションを必要とします。
直接XRP支払いは1つのトランザクションのみで完結します。
多くのトランザクションを処理する場合、迅速で簡単、かつ最低の手数料であるため、このオプションが適しています。
直接XRP支払いを行うには、受取人のアドレスを知っているだけで十分です。
エスクローは、取引の当事者間で合意された条件が満たされるまで、資金や資産を一時的に第三者が保持する仕組みです。この第三者は中立的なエスクローエージェントとして機能し、すべての当事者から信頼される必要があります。
エスクローの基本的な流れ
契約の締結
買い手と売り手が取引の条件に合意し、エスクローアカウントに資金または資産を預けます。
条件の履行
契約に記載された条件が両方の当事者によって満たされることが確認されます。
例えば、買い手が商品を受け取り、それが契約仕様に合致していることを確認するなどです。
資金の解放
条件が満たされたことが確認されたら、エスクローエージェントは資金を売り手に移動します。
エスクローの利点
リスクの軽減
資金が事前に確保されるため、買い手と売り手は詐欺のリスクが低減される安心感を持てます。
中立的保全
第三者が介在することで、取引が公正に行われることを保証します。
取引の透明性
取引の条件がクリアに記され、それに基づいて行動が制約されるため、透明性が保たれます。
エスクローは不動産取引、オンラインマーケットプレイス、国際貿易など、様々な分野で活用されています。特に高価な購入や、買い手と売り手が物理的に離れている場合によく用いられます。
クロスカレンシー支払い
XRP Ledgerは、XRPおよびトークンのクロスカレンシー支払いを可能にします。
XRP Ledger内のクロスカレンシー支払いは完全にアトミックであり、支払いが完全に実行されるか、全く実行されないかのどちらかです。
クロスカレンシー支払いは、支払い先アドレスにに固定額を送付しますが、送金者の費用はネットワーク上でトランザクションを実行するための経路によって変動します。
これは、支払い先アドレスがネイティブのXRP通貨ではなく特定のトークンでの支払いをしたい場合に適した支払いオプションです。
これらの支払い方法は、国際取引や多様な通貨を扱う場合に特に有効であり、XRP Ledgerの機能を活用して効率的かつ柔軟に支払いを行うことができます。
預金の制限
XRP Ledgerでは、銀行のように厳格な規制に基づいて運営されていないため、支払い処理の柔軟性がありますが、不正行為のリスクを管理するための機能も備えています。
特に「入金承認」の機能を活用することで、受け取る資金のソースを管理し、承認された取引のみを処理することが可能です。
入金承認の概要
入金承認は、アカウントが未承認の資金の入金を拒否するように設定できる機能です。
この設定は、AccountSet
トランザクションを使用してasfDepositAuth
フラグを設定することで行います。
これにより、ユーザーは自分のアカウントに対する不正アクセスや不審な取引を防ぐことができます。
入金承認(Deposit Authorization)は、XRP Ledger上でのアカウントのセキュリティを向上させる機能です。この機能を有効にすると、アカウントは、事前に承認された送金元からのみ資金を受け取ることができるようになります。これは、不審な取引や不正アクセスからユーザーの資産を保護するために設計されています。
入金承認の設定方法
入金承認は、
AccountSet
トランザクションを通じて設定されます。具体的には、このトランザクションでasfDepositAuth
フラグを設定することにより、アカウントはこのセキュリティ機能を有効にします。このフラグが設定されている場合、アカウントへの全ての入金トランザクションは、その送金元がアカウントによって事前に承認されていない限り、拒否されます。AccountSetトランザクションについて
AccountSet
トランザクションは、XRP Ledger上でアカウントの設定を変更するために使用されます。このトランザクションを通じて、ユーザーは自分のアカウントの様々な設定を調整することが可能です。例えば、トランザクション手数料の設定、アカウントへのメールアドレスの関連付け、ウォレットの暗号化の設定変更、その他多くのオプションが含まれます。AccountSet
は、アカウントの機能や行動をカスタマイズするための主要な手段です。asfDepositAuthフラグについて
asfDepositAuth
フラグは、AccountSet
トランザクションを使用してアカウント設定に追加される特定のフラグの一つです。このフラグが有効化されると、該当のアカウントはDeposit Authorizationモードになります。これは、そのアカウントが事前に承認された送金元からのみ資金を受け取ることができるようにするセキュリティ機能です。具体的には、
asfDepositAuth
フラグがセットされたアカウントは以下のような挙動をします。
事前承認されたアカウントからの入金のみを受け入れる
このフラグにより、ユーザーは不正な資金の流入を防ぎ、特定の信頼できる送金元からのみ資金を受け取ることができます。
未承認の送金元からの入金を自動的に拒否する
これにより、不審な活動や潜在的な詐欺を防止することができます。
AccountSetトランザクションの実行
AccountSet
トランザクションを実行するには、XRP Ledgerネットワークに対してトランザクションを送信し、適切なフラグを設定する必要があります。例えば、asfDepositAuth
を有効にするには、トランザクションのパラメータとしてSetFlag
に該当フラグの値(この場合は9
)を指定します。同様に、このフラグを無効にする場合はClearFlag
に9
を指定します。入金承認の利点
この機能の主な利点は、アカウントへの資金流入を厳格にコントロールできることです。ユーザーは、信頼できる送金元を事前に定義することで、未承認の資金の受け入れを自動的に防ぐことができます。これにより、偽造や詐欺などのリスクを軽減し、アカウントのセキュリティを向上させることが可能です。
実際の適用
実際にこの機能を利用する場合、アカウントオーナーは、取引を行う前に相手方のアカウントを確認し、信頼できると判断したものだけを事前に承認リストに追加します。承認されたアカウントからの送金は通常通り受け入れられますが、承認されていないアカウントからの送金は自動的に拒否されます。
この機能は特に、大量の取引を処理する企業や、厳しい規制環境下で運用される金融機関にとって有効です。また、個人ユーザーでも、自分の資産を不正アクセスから保護するためにこの機能を有効にすることが推奨されます。
入金承認を通じて、XRP Ledgerのユーザーは自分のアカウントをより安全に管理し、信頼性の高い取引環境を維持することができます。
入金承認の利点
この機能は特に、大量の取引を扱う場合や特定の信頼できるベンダーからのみ資金を受け取りたい場合に便利です。
また、不審なアカウントからの入金をブロックすることで、不正行為のリスクを軽減します。
事前承認アカウント
入金承認が有効な状態で、信頼できる特定のアカウントからの入金を自動的に承認するには、DepositPreauth
トランザクションを利用します。
これにより、特定のアカウントからの入金を前もって許可し、他のすべての入金を拒否することができます。
支払い方法としての小切手
入金承認が有効である場合でも、小切手は依然として有効な支払い手段です。
送金者が小切手を作成し、受取人がそれを換金する必要があるため、換金すること自体が入金の明示的な承認となります。
しかし、小切手は延払いの性質を持つため、資金の確実性は保証されません。
預託(エスクロー)
より高いセキュリティを求める場合、エスクローを利用することもできます。
送金者はエスクローに資金を預け、特定の条件が満たされたときにのみ資金が解放されます。
これにより、資金が安全に保管され、条件が満たされたときのみ受取人に移動することが保証されます。
このように、XRP Ledgerはその柔軟性と機能により、ユーザーが自分の資金と取引を適切に管理し、セキュリティを確保しながら効率的に操作を行うことが可能です。
スマートコントラクト
スマートコントラクトとは
スマートコントラクトは、合意された条件を自動的に実行するブロックチェーン上のプログラムです。
これにより、第三者(例えば金融機関や法律事務所など)を介さずに安全に契約を履行することが可能となります。
スマートコントラクトは、「もしAが起こったらBを実行する」という形式で条件が設定され、ブロックチェーンの分散型ネットワークによって管理・実行されます。
条件付きエスクロー
XRP Ledgerでのスマートコントラクトは、特に「条件付きエスクロー」を通じて機能します。
条件付きエスクローとは、資金が特定の条件を満たした場合にのみ受取人に渡されるように設定されたエスクローです。
これは従来のエスクローサービスに似ていますが、トランザクションが実行されるための条件が設定されている点が異なります。
EscrowCreate
このトランザクションタイプによりエスクローが作成されます。
資金は条件が満たされるまでロックされます。
Condition
トランザクションを実行するための条件。
Fulfillment
条件が満たされた際に提供する履行証拠。
オラクル
オラクルは、スマートコントラクトが現実世界のデータを取り入れるための橋渡し役です。
オラクルは、契約の条件が外部の事象に基づいている場合に非常に重要です。
オラクルは、契約の条件に合致するかどうかを判断するためのデータを提供し、条件と履行を生成します。
オラクルが条件を検証し、条件が満たされたと判断されると、履行データ(16進値)がエスクローの受け取りアドレスに渡され、エスクローを解放するために使用されます。
これにより、エスクローは条件が満たされた場合にのみ資金が受け取りアドレスに渡されるように保証されます。
スマートコントラクトの応用例
スマートコントラクトは以下のような多様な用途で使用されています。
住宅ローンの支払い
通常は法的手続きが必要な高額取引を自動化し、スムーズに進行させます。
サプライチェーン管理
商品が受け取られた際に自動的に支払いが行われるよう設定します。
特定の種類の保険請求の自動化
ソフトウェアで検証可能な条件に基づいて保険金が支払われます。
提供されたサービスの対価保証
契約条件に基づき、サービス提供後に自動的に支払いが行われます。
トークン化
ステーブルコイン発行
ステーブルコインを発行する過程は、多くのステップを含み、様々な設定や前提条件を考慮する必要があります。
ステーブルコインの種類
XRPL(XRP Ledger)では、以下のような異なる種類のステーブルコインを作成することができます。
法定通貨担保型
法定通貨(例えばドルやユーロ)によって裏付けられたステーブルコイン。
暗号通貨担保型
他の暗号通貨によって裏付けられたステーブルコイン。
商品担保型
物理的な資産(例えば金や銀)によって裏付けられたステーブルコイン。
金融商品担保型
株式や債券などの金融商品によって裏付けられたステーブルコイン。
無担保型
特定の担保に裏付けられていないが、アルゴリズムによる市場操作で価値の安定を図るステーブルコイン。
ステーブルコイン発行のプロセス
ステーブルコインを発行するためには、以下のステップが必要です。
通貨コードの選定
ステーブルコインには、ISO 4217規格に基づく3文字の通貨コードまたは160ビットの16進文字列を使用します。
トラストラインの設定
発行アカウントと消費アカウントの間にトラストラインを作成し、転送可能なステーブルコインの最大数を設定します。
ステーブルコインの送金
トラストラインの最大額まで、消費者にステーブルコインを送金します。
インフラストラクチャとサーバー
ステーブルコインをサポートするためには、適切なノードサービスやインフラストラクチャの設定が必要です。
これには、独自のサーバーや外部のノードサービスプロバイダー(例:OpenNode)の利用が含まれます。
テストネットワークとサンドボックス
発行前のテストとして、XRPLのTestnetまたはDevnetを使用してステーブルコインを実装・展開・取引することが推奨されます。
これにより、実際の資産をリスクにさらすことなく、様々なシナリオを試すことができます。
透明性と情報公開
ステーブルコインを信頼できるものとして市場に提示するためには、関連する資産情報や通貨の安定性に関する情報を公開することが重要です。
これには、xrp-ledger.toml
ファイルを通じた情報公開が含まれます。
このファイルは、発行する通貨や管理するXRPLアドレスに関する情報を公開するために使用され、クライアントアプリケーションがこれを利用することで、コインに関する透明性が確保されます。
マルチ署名スキーム
マルチ署名スキームでは、複数のキーが必要で、それぞれのキーには重みが割り当てられます。
トランザクションを承認するためには、指定された重みの合計が必要です。
これにより、アカウントのセキュリティを強化し、トランザクションの承認における分散化と柔軟性を提供します。
トークン操作
ステーブルコインの発行
ステーブルコインを発行するには、規制遵守や市場への影響など、多くの考慮事項があります。
発行前には自己評価アンケートを行い、コミュニティに対して透明性を保つために情報を公開することが推奨されます。
トラストラインの構築
トラストラインは、ユーザーが特定の通貨またはトークンを保持することを許可するメカニズムです。
これにより、発行者とトークン保有者の間で信頼関係が形成されます。
トラストラインとその設定
承認されたトラストライン
この機能を使うと、発行者は特定のアカウントのみがトークンを保有できるように制限することができます。
この設定を有効にすると、他のアカウントは発行者の許可がない限りトークンを保持できません。
トラストラインの凍結
疑わしいアクティビティがあった場合には、発行者は特定のトラストラインを凍結することができます。
これにより、トークンの不正使用を防止することが可能です。
グローバルフリーズ
グローバルフリーズは、疑わしいアクティビティが検出された場合に全アカウントレベルでトランザクションを一時的に停止する手段です。
これは、分散型取引所でのトレーディングを含む、すべてのトークンの移動を防ぐために用いられます。
クローバック
クローバック機能は、発行されたトークンを発行者が後から回収する能力を与えるオプションです。
これは、トークンが違法行為に使用された場合や制裁を受けたアカウントに送られた場合に特に役立ちます。
クローバック修正条項は、発行前に設定可能で、これにより発行者は規制要件を満たすことができます。
部分支払い
部分支払いは、送信される金額が要求された全額に達していなくても成功とみなされるトランザクションです。
XRPLでは、delivered_amount
フィールドを通じて実際に送金された金額を確認することが可能です。
これは、送金の透明性を確保し、送金されるべき正確な金額をユーザーが知ることを可能にします。
トークンのバーン
トークンのバーン(破棄)は、供給量を減少させる方法の1つです。
XRP Ledgerでは、発行アドレスにトークンを送ることで自動的にバーンされます。
これにより、市場におけるトークンの希少価値を高めることができます。
信頼性の高いトランザクションの送信
トランザクションが確実に送信されるようにするためには、トランザクションの詳細を保持し、LastLedgerSequence
パラメータを使用して、トランザクションが検証済み元帳に含まれるようにします。
これにより、トランザクションの冪等性と検証可能性が保証されます。
XRP Ledgerの取引パラメータの一つである
LastLedgerSequence
は、取引の有効期限を指定するために使用されます。
LastLedgerSequence
は、取引が有効とみなされる最後のレジャーのシーケンス番号を表します。取引が
LastLedgerSequence
で指定されたレジャーよりも後のレジャーに含まれていない場合、その取引は期限切れとみなされ、ネットワークから削除されます。
LastLedgerSequence
を指定することで、取引が長期間未処理のままネットワーク上に残ることを防ぎ、取引の確実性を高めることができます。通常、
LastLedgerSequence
は、現在のレジャーシーケンス番号に固定値(例えば、256)を加算した値に設定されます。
これにより、取引が提出されてから約15分程度の有効期限が設定されます。
LastLedgerSequence
が設定されていない取引は、デフォルトでは無期限に有効であるとみなされます。
ただし、非常に古い取引は、ネットワークのパフォーマンス維持のために削除される場合があります。
LastLedgerSequence
は、XRP Ledgerにおける取引の有効期限管理に重要な役割を果たし、取引の時間的な確実性を高めるとともに、ネットワークの効率的な運用に貢献しています。
XRPLネイティブDEXとAMMに上場
DEXに上場
XRP Ledgerの組み込みDEXにトークンをリストすることで、そのトークンの可視性と流動性が向上します。
トークンをリストする時は、適切なインターフェースを使用して売りオファーを出します。
AMMに上場
AMMは、資産間の自動的な取引を可能にするスマートコントラクトです。
資産ペアのための新しいAMMを作成するか、または既存のAMMに資産を預けることで、流動性プロバイダーとして機能します。
これらの高度な機能とメカニズムは、XRP Ledgerを使用しているユーザーが、そのプラットフォーム上でセキュリティ、透明性、規制の遵守を強化し、トークンの効果的な管理と流通を可能にします。
NFTマーケットプレイス
主な特徴
XRP Ledger(XRPL)は、NFT(Non-Fungible Tokens)をサポートするための強力なツールを提供しており、以下のような機能を実装しています。
NFTのMint、販売、Burn
ユーザーが自らのNFTを作成、市場で販売、そして必要に応じて削除することができます。
低コストでの迅速なプロジェクト立ち上げ
手軽に始められる環境を提供し、時間とコストの節約を可能にします。
ブローカーの指定
売り手と入札者間の取引をスムーズに行うために、ブローカーを配置することができます。
他アカウントによるNFTのミントの認可
他のユーザーに自分のアカウントでNFTをMintさせることが可能です。
クリエイターフレンドリーなロイヤルティ
NFTの売買から生じる収益(ロイヤルティ)を確実に受け取れるように、取引所が体制を整えています。
XRPLへの接続
XRPL(XRP Ledger)に接続するためには、取引量に応じて異なる方法が適用されます。
小規模なサイトの場合
無料のXRPL公開サーバーを利用できます。
これは取引が少ない場合に適しています。
大規模なサイトの場合
高い取引量を処理するためには、独自のXRPLサーバーインスタンスを設置する投資が必要です。
ブロックチェーンの基本機能のセットアップ
以下はNFTの発行(Mint)、管理、販売についてです。
NFTの発行と焼却
初めてのNFTを作成するための手順に従い、必要に応じてNFTをBurnするオプションを含めます。
バーン可能にするためには
Flags
フィールドを1
に設定し、送付可能にするためには8
に設定します。両方の属性を持たせるには
9
に設定します。
データの保存
NFTのコンテンツを永続的なURLで提供するためにIPFSなどの分散型ストレージソリューションを使用します。
ロイヤルティと転送手数料
将来の販売からロイヤルティを収集するために、転送手数料を設定します。
この手数料は販売価格の
0~50%
を表すことができます。
コレクションでのNFT発行
TokenTaxon
フィールドを使用して、NFTを論理的なコレクションにグループ化して発行します。
認可されたミンター
他のクリエイターの代わりにNFTを発行するために、認可されたミンターとして機能することもできます。
これにより、クリエイターは創作に集中し、生産と販売を担当します。
NFTのリストとリザーブ要件
発行されたNFTは
NFTokenPage
にリストされ、各ページには2 XRP
のリザーブが必要です。ページは
16~32
のNFTを保持できます。
これらの手順により、効率的かつ効果的にNFTマーケットプレイスを運営し、XRP Ledgerの機能を最大限に活用することが可能です。
ウォレットのセットアップ
以下から作成できます。
アカウント作成時、10 XRP
のリザーブが必要になります。
NFTの取引
NFTの送付方法は以下の通りです。
売買オファーを通じた送付
販売のためのオファーを作成するか、購入オファーを受け入れることでNFTを送付します。
オークション形式での販売
NFTをオークションで売り出し、競売を通じて販売する方法です。
ブローカーとしての活動
売り手と入札者をつなげ、トランザクションを完了させることで、取引価格の一部を手数料として得ることができます。
これらの方法を通じて、NFTの効果的な販売と送付が可能となります。
リザーブ要件
XRP LedgerでNFTを発行して販売する時には、いくつかのリザーブ(準備金)要件があります。
NFTokenページのリザーブ要件
各NFTokenページには
2 XRP
のリザーブが必要です。1つのページは
16~32
のNFTを保持することができます。
NFTokenOffer
オブジェクトのリザーブ各
NFTokenOffer
オブジェクトにも2 XRP
のリザーブが必要です。
トランスファー手数料
NFTokenOffer
を投稿するかNFTを販売する時には、約6000 drop
(0.006 XRP
)の転送手数料がかかります。高い取引量の場合、これらの小額が迅速に積み上がり、ビジネスコストの一部として考慮する必要があります。
支払い
XRPLでのNFT取引において、最も簡単な支払い方法はXRPを使用することです。
また、他の通貨での取引を希望する場合は、分散型取引所(DEX)を活用して、様々な発行通貨を受け入れて変換することができます。
NFTのインデックス化
NFTを販売する時には、オブジェクトのメタデータを使用してNFTを整理することが有効です。
XRPLライブラリ、Clioサーバー、およびXRPL APIとBithompライブラリの拡張機能を利用して、作成者、価格、コレクション、希少性などに基づいてNFTを分類やフィルタリングすることができます。
NFTのキャッシュ
NFTのメタデータ(メディアや属性など)は通常、中央集権を避けるためにIPFSやArweaveに保存されます。
しかし、これらのプラットフォームからのメタデータの取得速度は、即時レスポンスを求める現代のウェブサイトには適していません。
そのため、多くのXRPLのNFTマーケットプレイスは、高速で信頼性のある応答を実現するために、IPFSのオリジナルデータのキャッシュ版を保存していますが、このプロセスはコストがかかり非効率的です。
CloudflareやInfuraなどのプロバイダーが、これらの分散ファイルを迅速に保存し取得するサービスに注力しています。
DeFi
アルゴリズム取引
XRP Ledger(XRPL)における分散型取引所は、アルゴリズム取引を利用して収益を得る機会を提供します。
アルゴリズム取引とは、プログラムを用いて自動的に有利な取引機会を見つけて取引する方法です。
この取引スタイルは、定量的なデータに基づいて頻繁に多くの取引を行い、小さな利益を積み重ねることを特徴としています。
これは、市場の基本原則に基づいて数回の長期投資を行い、時間をかけて大きなリターンを期待する従来の手動取引とは対照的です。
ブロックチェーン技術、特にXRP Ledgerは、以下の理由からアルゴリズム取引に特に適しています。
データの可用性
XRPLの取引所データは分散化されており、公開されていて自由にアクセス可能です。
これにより、トレーダーはリアルタイムの市場データを利用して取引戦略を立てることができます。
迅速な取引決済
取引の決済が数秒で完了するため、特別な機材を必要とせずに頻繁な取引が可能です。
これにより、市場の小さな価格変動を利用して利益を得ることができます。
低い取引コスト
XRP Ledgerのトランザクションコストは非常に低く設定されており、多数の取引を行うアルゴリズム取引に適しています。
低コストであることは、小さな利益が積み重なる取引戦略にとって重要です。
これらの特性により、XRP Ledgerは高いボラティリティを持つ暗号通貨市場において、伝統的な「買って保持」戦略よりもアルゴリズム取引の方が適しているとされています。
アルゴリズム取引は、リアルタイムのデータと迅速な実行が可能なデジタル環境で最大の効果を発揮します。
取引戦略
アルゴリズム取引では、プログラムを利用して自動的にトレードを行い、複数の戦略を通じて利益を生み出します。
主なアルゴリズム取引戦略には以下のようなものがあります。
アービトラージ
この戦略では、異なる市場間、または同一市場内での資産価格の違いを利用します。
例えば、XRP Ledgerを使用して、異なるプライベート取引所間で資産を移動し、価格差から利益を得ることが可能です。
また、複数の資産を巡る循環取引を行い、価格の非整合を利用することも一つの方法です。
量的取引
過去の価格動向や外部データを基に将来の価格変動を予測し、それに基づいて取引を行います。
これには、キャンドルスティックパターン、他の資産との価格相関、ソーシャルメディアのセンチメント分析などが含まれます。
フロントランニング
これは、特に大きな注文の前にその注文が買い入れる資産を先に購入し、直後に売却する戦略です。
この行為は市場に流動性を提供せず、他のトレーダーから利益を奪う形となるため、一般的には好まれません。
XRP Ledgerではトランザクションの正準的な順序付けにより、フロントランニングは難しくなっていますが、不可能ではありません。
アービトラージの具体的な例
マルチアセットアービトラージ
XRP Ledgerで複数の資産を巻き込む循環取引を行い、利益を得ることができます。
例えば、異なる通貨間で有利なレートを見つけ出し、それを利用して取引を行うことが可能です。
クロスエクスチェンジアービトラージ
複数の取引所にアカウントを持ち、異なる取引所間で価格差を利用して利益を出す戦略です。
例として、1つの取引所でXRPを安く買い、もう一つの取引所で高く売ることで利益を得ることが挙げられます。
また、ETHとBTCの価格差を利用した複雑な取引も可能です。
これらの戦略は、XRP Ledgerの迅速なトランザクション決済能力や低コストなどの特性を活かすことで、効率的に実行することができます。
テストとよくある間違い
アルゴリズム取引は手動取引に比べて小さなミスが大きな損失につながる可能性があります。
以下は、アルゴリズム取引における一般的なテスト方法とよくある間違いです。
テスト方法
手動計算
現在のレジャー状態または過去の取引に基づいて潜在的なリターンを計算します。
履歴データの利用
履歴データをボットに供給し、ボットが取ったであろうアクションを記録して実際の歴史的価格動向と比較します。
モデリングまたは予測
さまざまな現実的な将来シナリオでアプローチの結果をモデル化または予測します。
よくある間違い
丸め誤差
数学的計算が正確でない場合や、ブロックチェーンが使用する精度と一致していない場合、取引結果を誤って予測し、損失を被るか、取引が実行されない可能性があります。
特に、トークンとXRPの量に異なる精度が使用されるため、取引時に予期せぬ場所で丸めが生じることがあります。
追加コストと遅延の見落とし
例えば、2つのステーブルコインが同じUSドルで完全にバックアップされている場合でも、転送手数料が異なれば取引価格にも差が出ます。
取引の送信コストや他の潜在的な遅延の影響も見落としてはなりません。
希少事象の考慮漏れ
ブラックスワンイベントを除外しても、個々の異常値によって計算が歪められることがあります。
特定の期間の戦略利益の大部分が、価格に余分なゼロを誤って加えたユーザーによる1回の取引から生じた例があります。
ブラックスワンイベント(Black Swan Event)とは、予測が非常に困難で、発生すると重大な影響をもたらす非常にまれな出来事を指します。この用語は、リスク管理と金融市場の分析において特に一般的ですが、その概念は経済だけでなく、自然災害や政治的危機など他の分野にも適用されます。
ブラックスワンの特徴
予測不可能性
ブラックスワンイベントは、そのまれさと通常の期待の範囲外で起こるため、事前に予測することが非常に困難です。
希少性
これらの出来事は極めてまれで、そのため一般的な統計的方法やモデルでは捉えにくい特性があります。
重大な影響
ブラックスワンイベントは、経済市場、政治、社会に深刻な影響を与える可能性があります。
例
2008年の金融危機
アメリカの住宅市場の崩壊が引き金となり、世界的な経済危機に至った。
2011年の東日本大震災
地震と津波が複合的に発生し、福島第一原子力発電所の事故を引き起こすなど、広範囲にわたる深刻な影響をもたらした。
この用語は、統計学者でリスク分析家のナシーム・ニコラス・タレブによって広められました。タレブは、ブラックスワンイベントを説明するために、予測モデルの限界と、極端な事象の影響を過小評価しないことの重要性を強調しています。
トランザクションフラグの無視
XRP Ledgerトランザクションのフラグは、その取引がどのように処理され、プロトコルによって「成功」とマークされるタイミングに大きな影響を与えます。
フラグを無視すると、予想とは全く異なる結果になることがあります。
これらのテストと注意点を適切に行うことで、アルゴリズム取引におけるリスクを軽減し、効果的な取引戦略を実行することが可能です。
技術詳細
取引の実行
OfferCreateトランザクション
XRPLの分散型取引所で通貨やXRPを売買する基本的な方法です。
Paymentトランザクション
通貨の交換もPaymentトランザクションを使って行うことができます。
これにはクロスカレンシーペイメントを他のユーザーに送るか、または自分自身に送ることが含まれます。
これを利用して、単一の操作で複数のアービトラージ機会を結びつけることが可能です。
NFTの取引
NFTは異なる方法で取引されます。
取引データの読み取り
取引所データのアクセス
公開サーバーや独自のサーバーを通じてXRPLに接続することで取引活動に関する情報にアクセスできます。
特定のユースケースでは、独自のサーバーの運用が利点となる場合があります。
トランザクションのメタデータの詳細解析
オファーが部分的に実行されたり、複数のマッチングオファーを消費したりすることがあるため、トランザクションの詳細なメタデータを読み取る必要があります。
オープンレジャーや提案中のトランザクションの監視
利益を得る機会に迅速に反応するため、オープンレジャーからの保留中のデータを確認したり、提案中のトランザクションを監視することが推奨されます。
WebSocketに接続している場合は、transactions_proposedストリームにsubscribeしてコンセンサスによって検証される前のトランザクションを確認できます。
将来の開発
Automated Market Maker (AMM)
Rippleは、既存の中央制限注文ベースの分散型取引所と並行して機能するネイティブAMMデザイン(XLS-30)を提案しています。
この提案が受け入れられて修正が有効になると、AMMはXRPL上での取引において重要な要素となる可能性があります。
最後に
今回はXRP LEDGERのユースケースについてまとめました。
これからも他のブロックチェーンやサービスについてもまとめていきます。
情報を見逃したくないという方はぜひ以下の購読ボタンを教えてください。
更新があった時、登録しているメールアドレス宛に通知が飛ぶようになります。
また、拡散もしてくれると嬉しいです🙇♂️